2013年 02月 02日
悔やむという事は、、、
洗濯物を干しにベランダへ出ると、私の住むアパートのドアの真ん前に救急車が停車していた。
近所には年寄りも多い。衣類を干したりしながら外の様子を気にしていた。
数名の階段を上がる足音が聞こえた、どうやらこのアパートのようだ。
と、言う事はあのおばさんか、上に住む友達のお父さんか。
救急車が狭い石畳の道をとおせんぼしているため、後の車がクラクションを鳴らす。
窓を開ける音がして怒鳴ったのは、友人の甥だった。
「お前の母親が緊急の時はどうするんだよ!」
階段からは友人の声も聞こえた。窓から見る限りでは何がどうなったのか全く判らない。
上がって様子を見に行こうか、どうしようかと、
外の様子を伺いながら部屋を右往左往。
きっと邪魔になるだけだからね、しばらく経ってから見に行く事にしよう。
ドアの内側で聞き耳を立てていると、
どうやらお父さんは救急車には乗らずに家に残るようだ。
友人がおりてくるタイミングを見計らって、どうしたのか尋ねると、
お父さんは風邪による発熱のめまいで倒れて身動きが取れず、
2日間床の上で寝たきり、飲まず食わずだったそうだ。
カーテンに摑まって起き上がろうにも、カーテンがバーから外れて部屋はむちゃくちゃ。
電話に手が届くようになって、アルファベットのAから始まる孫にやっと電話で知せたのだった。
冷たいタイルに寝たきりで、背中は床ずれ、脱水症状も。
それよりも、ショックが大きくて、気持ちが元に戻るだろうか。
80歳をすぎたお父さんだけど、つい数週間まえまで一人でキューバ旅行にいったり、
とても元気な人だった。
普段から上の物音に異常がないか、気にしていたのに、今回の事は全く判らず、
どうして手で床を叩いて知らせてくれなかったのか、と悔やむばかり。
自分は基本的に楽天家なのか、現実逃避なのか、
今まで起こった事に対して後悔した事がそれほど多くはなかったようだが、
今回は数週間もこの事が頭から離れる事がなかった。
友人と話をして、緊急時には私が部屋に入れる様にと合鍵を作ってもらった。
なにができるわけではないが、いないよりはマシなのだ。
もう一人いる高齢者、以前はものすごく口うるさかったおばさんも
そんな元気もなく、犬が死んでから散歩の回数も減り、歩く速度も遅くなったなぁ。
今、お父さんの所には身の回りの世話をする女の子が来ている。
もう、怖くて一人暮らしはさせられないだろうと思うと、切なくなってくる。
このアパート、スペイン人がいなくなったら住みたくないなぁ・・・
(写真は勝手に頂き物です)